時間の取捨選択

人の一生は時間的に『有限』であるのに対し、人が生きていくうえで必要な生活用品は『無限』といってもいいほどにあふれている。ヒトは、この地球上でもっとも欲張りな生物なのである。原始の人類は、ピテカントロプスもネアンデルタール人も、「腰ミノひとつ」で生活していたという。あとはわずかな石器や土器、そして洞穴に住んだ。
衣食住いずれもギリギリというシンプルな生き方をして、その延長線上にいまの狩猟民族がある。
農耕文明にあって、人間は「モノを蓄える」知恵を身に付け、その報酬として、ずいぶん余計なモノに脅かされ、責められて苦しむようになった。裸で生まれたなら裸で死ねばよいのに。着ぶくれ、食べすぎ、おまけにクルマやマイホームのローンに追われ続ける人生なんて。ロシアの文豪、チェーホフは、「生まれ、愛し、死ぬ」といったが、モノ余りの日本なら、「生まれ、ため込み、死ぬ」がぴったり?
私自身、どうでもいいモノを溜め込むことの愚かさに気付いたのは人生も50〜60年と経てからだ。この経験から得た知識として、あなたには、若いうちから一生の購買計画を立てておくことをおすすめしたいと思う。
「生涯に何を買い、何を借りてすませるか」
60歳以降は人生の終息期に入るのだから、モノはなるべく買わない、増やさないほうがいい。いくらモノを買い集めても、残存生命には限度があるから、おそらくムダになる。故人にとっては貴重なコレクションでも、残された子孫にはただのガラクタにしか見えず、廃棄、処分に苦労することだろう。
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